学校完全五日制の実施、週40時間・週休2日の実現を(02/5/25)
全国私教連中央執行委員会
2002年4月から週44時間の特例措置が無くなり、私学の教員も週40時間労働になります。必ず、週休2日・週15時間以下の持時間を実現をしましょう。
1.完全学校五日制をなしくずしにする動き
2001年4月現在における私立高校の学校五日制実施状況は、「何らかの形で学校週五日制を実施している学校」は、80.8%になります。しかし、2002年2月現在で「現在、完全学校五日制を実施している学校」は26.4%、「2002年4月からの実施を予定している学校」は32.5%で、その合計は58.9%です。「2003年度以降、完全学校五日制を実施予定、または実施を検討中の学校」は16.9%、「その他」24.3%となっています。現在隔週で学校五日制を実施している学校でも、完全学校五日制へのためらいが感じられます。 また学校五日制実施率が低い東京都では、「五日制完全実施の学校」は53校(22%)、「02年度実施予定」は31校(13%)、「03年度実施または検討中」が53校(22%)、「その他」100校(42%)となっています。五日制実施校でも土曜補習など行う可能性もあり、大勢は五日制回避の傾向が強くなっています。同時に、単位を減らさないために1日7時限(45分授業)にしたり、二期制にする動きも多くなっています。 公立高校でも進学校などで土曜授業の学校6日制を行っているところも多いようです。東京都でも都立高校中4校が進学指導重点校に決められ、それと同時に進学指導を重視する進学指導研究協議会14校などが土曜日授業、7時間授業などをすすめようとしています。 「生徒にゆとり」「教職員のゆとり」を学校で実現することはとんでしまい、公立の学区制廃止なども含んで「競争原理」による学校生き残りをかけて「進学本位の詰め込み」と「過密労働」の一層の激化がすすむ状況があります
2.学校五日制で新たな教育づくり、学校づくりを!
学校五日制は、学校に「ゆとり」をもたらすものとして推進されてきました。その五日制を実施していくために、私たちは、授業改革や土曜日の活用、総合学習の研究・具体化などをに取り組み、生徒の新しい「学び」と生徒参加、三者共同の学校づくりを追求してきました。各県各職場でのこのような取り組みは全私研でも交流され、昨年夏の山形全私研「学習と教育課程分科会」では、カリキュラム検討における四つの視点(@現実の生活や自然、社会から出発する、A将来の生き方・社会について考える、B生徒が参加、参画していく授業をめざす、C新しい評価を研究しあう)が提起され、検討が深められています。 このような取り組みにもかかわらず、一方では従来型の特進志向から指導要領の「3割削減」などによってもたらされる「学力低下」が危惧され、「授業時間数は減らさない」とか「単位減をしない」傾向も生まれています。 学校五日制は、真に学校、生徒、教職員にゆとりを取りもどし、生徒を主人公にした学校づくりをするチャンスでもあります。授業改革、教育改革を押し進めていくことが最も重要です。
3.週40時間労働をめぐる動き
学校五日制を実質的に回避しようとすれば、当然週40時間労働も労働軽減でなく、いかに法の網をくぐって労働強化を維持するかになってきているのが現状です。労働時間が賃金と並んで組合の重要なたたかいであることが明らかになってきています。 休憩時間を使って拘束時間を長くするとか、長期休業日を使って週44時間を維持するなどの動きがあります。これとどうたたかうかが問われています。 あわせて持ち時間を削減し、週15時間(含HR)以下の持時間とすることが重要です。5日勤務で6時間授業なら半分の3時間が限度です。ユネスコでは授業1時間に準備1時間と整理1時間が必要といっています。40時間を3分割すれば13時間〜14時間が妥当な持時間です。また、1日7時間授業をすでに行っている学校がありますが、7時間目は生徒も集中力を失い、耐えられない授業となっていますし、教師の疲労も深刻です。
4.あるべき労働時間(のぞましい就業規則例)
私教連は週休2日を確保すること、拘束時間=実働時間とすること、月や年の変形労働時間を使わず週40時間を保障することが肝要と考えています。次の条文はその東京私教連の就業規則のモデルです。
| ○○条 |
勤務時間は週40時間以内とし、就業時間及び休憩時間は次の通りとする。 教員の就業時刻は午前8時30分より午後4時30分までとする。休憩は12時30分より50分間とする。
職員の1日の就業時刻は午前8時30分より午後5時20分までとする。休憩は 12時から50分間とするが12時30分〜12時50分までの間は交代で勤務することとする。交代勤務した者はその時間分をその直前か直後にとることとする。 教職員の時間外勤務は午後5時20分から計測するものとする。 |
| ○○条 |
教職員の休日は下記の通りとする。
日曜日(法定休日)、土曜日、国民の祝日、都民の日10/1、年末年始(12/26〜1/7)
開校記念日、その他学園が認めたとき
*土曜でなく研修日を休日とする場合a各人に週1日固定曜日に与える |
| ○○条 |
時間外勤務及び休日勤務について
業務の都合上やむを得ない場合には、労基法36条の規定に基づき時間外又は休日勤務を命ずることがある。 |
| ○○条 |
振替休日 学園の都合によってやむを得ない場合、所定休日の振替を行うことがある。原則として1週間以内の他の日に振り替えることとする。振り替える休日および出勤日については1週間前までに通知する。 |
5.あるべき労働時間の解説と争点
(1)週休二日問題 完全五日制なら土曜休みの週休2日は問題なくできます。家族も休むときに一緒に休むのが健全な生活であり、土曜日は休養し、日曜日は趣味やレクレーションに使うことができます。 学校五日制をやらない場合、いままでの週一日研修日を休日にすることができます。ただし、研修日は労働日でしたが、休日になればこの日に出勤したら、振り替え休日を与えるか、時間外手当を出さなければなりません。同時に、職員会議、教科会、学年会、組合会議などが取りにくくなります。 隔週5日制で週40時間をクリアしようとする動きがあります。これは月の変形労働時間を使うことになります。
*月の変形労働時間 1ヶ月内で平均週40時間を超えなければよいことになっています。就業規則で制定できますが、起算日、各日各週労働時間、就業時刻などが就業規則に明記されていなければなりません。さらに、1年を通じてどの月も総枠の時間を超えないことが条件となります。(40H×月の歴日数/7)
<28日-160時間 29日-165時間 30日-171.4時間 31日-177.1時間> 例えば、2002年6月を見てください。第2と第4土曜が休日とすれば3回土曜出勤があり、4時間×3=12時間と4週分160時間を加えれば計172時間となり、暦日30日の171.4時間をオーバーしますから、違法となります。
(2)学校での休憩時間の位置づけ
学校現場の教員の休憩は生徒がいる限り「一斉・自由」には取れません。したがって拘束=実働としているのが通常です。
*休憩時間 労働時間が6時間以上なら少なくとも45分、8時間以上では少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。休憩は、一斉に(そうでないときは労使協定が必要)、自由利用の原則が守られなければなりません。
*手待ち時間 勤務時間中でありながら所定の労働に従事することなく待機している時間をいい、労働時間となります。(S29.5.22基収1976、S22.9.13発基17休憩時間の意義) 教員の昼休みは生徒の安全管理や生徒の質問に対応したりするなど生徒指導全般、係集合などがあり、これらはすべて業務です。したがって昼休みは「手待ち時間」であり、休憩時間とはなりません。ただし、労基法では休憩時間は設置されなければなりませんから、就規には休憩時間を明記する必要があります。そして、実質的に拘束時間をその分短くすることになります。これが拘束=実働の意味です。同時に時間外労働時間の計測を休憩時間分をグレーゾーンとして、その後から始めることとします。 このような学校現場の実情を無視して、平日も土曜も拘束を60分増やして、平日8時間拘束(実働7時間)、土曜6時間拘束(実働5時間)というやりかたを強行しようとする経営者がいます。こうすることで、今まで通り平日6時間授業、土曜4時間授業、教員は週6日勤務にしようということです。この悪質な経営者には後述のサービス残業問題で徹底的な糾弾が必要です。
(3)学校での年間変形労働時間問題 1年単位で平均して1週間当たり40時間を越えなければよいという規定です。ただし、労使協定か過半数を代表する者との協定が必要です。さらに、恒常的な時間外労働を前提としていないか、季節による業務の繁閑が大きい業種に限定されています。ただし、この業種が指定されていないためこれを学校にも使おうとする経営者がいます。
年間の変形労働時間を使うと週44時間労働を行って、4×42週=168時間がオーバーになります。これを週になおすと168/40=4週と1日分となります。長期休業中「4週間+1日」を休日とすれば成立するという理屈です。
この場合、当然論議しなければならない問題は、教員のサービス残業と研修権の保障の問題です。
教育労働の特殊性は「黙示の指示による労働」(業務命令によらない自発的労働)
ですが、これを公立では「教職調整額4%」で決済しています。私学は労基法適用事業であり、仮に「教職調整額4%」という名目で支給されていたとしても、労働基準法第36条の適用除外にはなりませんから、ただちに時間外手当が免除されるわけではありません。
これをどう保障するかは36協定問題となります。 教員の実態調査によれば、居残り残業1時間、持ち帰り残業1時間で、合計週10時間のサービス残業をしている統計が出ています。 授業日数は42週(夏休み6週、春休み2週、年末年始2週をマイナス)ありますから、42週×10時間=420時間がサービス残業時間となります。このように測定可能な残業時間については25%か35%(休日)の割り増し賃金を要求しましょう。 同時に、教員は「絶えず研究と修養に努めなければならない」(教特法19条)のであり、これが週1日研修日や長期休業日に当てられてきたのは衆知のことです。 従って、年の変形労働時間を適用する前に、このサービス残業問題や研修権保障問題の解決が必要です。
*研修権 教師にとって研究と修養は、教師たる資格を具備するための必要不可欠の要件ともいわねばならず、その自由と自主性は尊重されなければならない。(札幌高裁) 研修が自主的な専門的研究と人間的な修養が不可欠であることを確認している(三省堂教育六法)
教員の週44時間特例措置の撤廃にともなう就業規則改訂に対応するポイント
2002年4月1日から学校完全五日制実施までの教員の週44時間労働の特例措置が無くなります。これにともなってほとんどの職場で就業規則の改正か労働協約の変更が行われることになります。来年の3月中に労基署に提出ということになりますから、これに関する団交と就規変更の説明会と意見書作成が行われます。これに関する留意点などを挙げます。
1、就業規則と労基署との関係 就業規則は経営者の決める職場運営規則です。10名以上の職場ではこれを決めて労基署に提出する義務があります。労基署は意見書を添付したものを受け取りますが、どんな意見書であれ、就業規則が基準法に違反していなければ受理してしまいます。 少数組合の場合、説明会や意見書の内容に徹底的に関与していくと同時に労働条件の変更ですから「団交」を並行して行うことが大切です。
2、職場代表者の選出について
(1)説明会を行わせることー質疑応答を行い、一回で終わらなければ複数回行わせること (2)代表選出は理事・管理職などは(退出してもらって、投票・挙手などで選出すること、複数名選んでもよい (3)意見集約方法を決める、会議を開いて意見をたたかわせた方がよい。両論併記も可。
*労働省労働基準局長通達(基発44号、H11.1.29) 過半数代表者の選出 @監督、管理の地位にあるものでないこと A労使協定の締結当事者、就業規則の作成・変更の際に使用者から意見を聴取される者等を選出することを明らかにして実施される投票、挙手などの方法による手続きにより選出された者であり、使用者の意向によって選出された者ではないこと B過半数代表者であることもしくは過半数代表者になろうとしたことまたは過半数代表者として正当な行為をしたことにより…不利益取扱いをしないように、…「正当な行為」には、法に基づく締結の拒否、1年単位の変形労働時間制の労働日ごとの労働時間についての不同意等も含まれるものであること。
3、労働協約で 過半数組合は団交一本で行えます。その際は未組合員の意見も集約しながら行うことが大切です。団交での合意事項を協定書、確認書などで協定します。この協定は就業規則より優先されます。就業規則制定より労働協約として労働条件を決めることの方が有効です。少数組合でも粘り強く団交で追求することが大切です。仮に監督署に提出・受理されたとしても、労働条件改善要求として追求していくことができます。 (本討議資料は東京私教連の討議資料を基に加筆訂正したものです。)
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