特別決議(案)指導主事が私学に直接関与し、日の丸・君が代や教員評価・学校評価の強要をねらう教育三法案を阻止し、私学の自主的発展、私学の自由を実現するのために全力で奮闘しよう!!
私学は今、建学の精神にもとづく教育を父母、生徒とともに自主的に築いていくのか、それとも国家・行政管理の「学費が高いだけの公立と変わらない学校」にされてしまうのかの大きな岐路に立たされています。
現在国会で審議されている教育三法案(学校教育法改悪案、地方教育行政法改悪案、教育職員免許法等改悪案)は、私学行政に教育委員会を直接関与させ、当面まず、すべての私学に日の丸・君が代を強制し、公立学校と同様の教員評価・学校評価制度を実施させることをねらいとするものです。すべての私学を国家・行政主導の教育にしていこうとするこうした暴挙を私たちは絶対に許すわけにはいきません。
三法案の国会審議を通じて明らかになった第一の問題は、学事課などの私学担当課に教育委員会の指導主事を常駐させ、教育委員会が直接関与して私学教育に介入しようとしていることです。
地方教育行政法改悪案に盛り込まれているのは、私学にかかわって知事が教育委員会に「助言又は援助を求めることができる」ということです。安倍首相は5月17日の衆議院教育再生特別委員会で「地教行法の改正で知事部局に教育の専門家を配置し、私学に学ぶ子どもたちの教育を受ける権利を保障していきたい」と答弁しており、すべての県に教育委員会の指導主事を常駐させ、その視点で私学行政を行おうとしているのは明白です。
第二の問題は、安倍首相と伊吹文部科学大臣がともに「私学といえども公教育であり、私学の自主性は尊重されるが国の法令は守って頂かないといけない」と繰り返し意図的に強調していることです。昨秋の未履修問題を最大限に利用しながら、政府が「私学は法令違反を侵している、そうした法令違反は正していかなければならない」と意図的に宣伝しているねらいは、大きくは次の二つに集約されます。
ひとつは、すべての私学に対する「日の丸・君が代」の強要です。少なくない私学は、現在なお建学の精神の重要性を踏まえて、入学式、卒業式その他での日の丸掲揚、君が代斉唱を行ってはいません。キリスト教を建学の精神にする学園が、その宗教的な式典としての意味を持つ行事に日の丸・君が代を据えるわけにはいかない、また建学の精神に国際主義を掲げる学校、戦後民主主義を掲げる学校が、侵略戦争にかかわった日の丸、君が代を掲げることはできないのは当然のことです。そうした私学に日の丸・君が代を強制することは、建学の精神を捨てよというに等しい問題であり、こうした強要が行われるとすればそれは私学の存在意義を否定するものです。
もう一つは、私学にも公立学校と同様の教員評価・学校評価を実施させようということです。現在すでに96%の公立学校では学校評価制度が実施されており、教員評価制度は試行段階から実施段階に移っています。学校評価は、2002年に学校設置基準に学校自己評価を規定し、2006年3月には文部科学省が学校評価ガイドラインを示しており、そのガイドラインには、生徒、保護者のアンケートなどを含む内部評価の方法や評価項目、外部評価委員会による外部評価の実施、評価の公表といった詳細が示されています。
今回の学校教育法改悪案では、こうした学校評価を法律の条文に盛り込み、「文部科学大臣の定めるところにより当該学校の教育活動その他の学校運営の状況について評価を行い、その結果に基づき学校運営の改善を図るために必要な措置を講ずる」とされているのです。
学校をどういう指標や項目でどう評価するかは、その学校の教育理念、教育システムの根本にかかわる問題であり、法律で定めて文部科学省がその詳細を指示するような問題ではありません。それぞれに建学の精神を掲げて公立学校とは異なる独自の理念、システムで教育を行う私学に対して、こうした公立学校と同様の学校評価を強制することは、私学教育の独自の存在意義を失わせ、私学を単に学費が高いだけの公立補完校におとしめるものです。また、教員評価制度は学校の設置・管理者の教員管理・育成の一つの方法であり、私学がどのような教員の管理・育成方法を取るかはその学園の権限と責任に属する問題であって、行政が教員評価問題で私学に関与することは、明らかに行政権限の逸脱です。
従来から私学は、建学の精神にもとづく独自の教育が保障され、だからこそ公立学校とはことなる私学の存在意義が発揮されてきました。法的には、学校教育法第14条に規定された学校の「設備、授業その他の事項」に対する教育委員会や知事の変更命令権について、私立学校法第5条で「私立学校には、学校教育法第14条の規定は適用しない」と規定し、私立学校法という特別法によって私学の独自性を支えてきたのです。戦後の私学は、私学の自主性を法的に支えるこうした規定に支えられ、学習指導要領の規範としての重要性を踏まえつつ、建学の精神にもとづく具体化をはかりながら教育をすすめてきたのです。
こうした建学の精神にもとづく私学独自の管理運営について、県行政が公立学校と同様の視点で監督するとすればきわめて重大な問題です。
教育三法案にかかわるこうした緊急の事態を受け、全国私教連は次の方針を決定しました。
@ 緊急に文部科学省、内閣府その他の省庁への申し入れ、日私中高連その他の私学団体への協力要請を行い、教育三法案の廃案を促すとともに三法案で企図されるものの具体化を阻止するよう働きかける。
A 発第22号などで指示する参議院文教科学委員会理事への要請や署名を強める。
B すべての県で、私学の経営者団体に働きかけ、指導主事の知事部局常駐を行わない、私学の自主性を損なうおそれのある「日の丸、君が代」の強要や実施状況調査、教員評価・学校評価制度の強要や実施状況調査を行わないなどについて県に要請させる、また私教連としても県当局に要請する。
今国会に提出されている教育三法案は、戦後、日本国憲法の教育の自由、国民の教育権にもとづき、私立学校法と私立学校振興助成法などによって支えられてきた私学を、その根底から作り替えることを意図した重大なものです。こうした暴挙を何としても阻止するために、全力で奮闘してしましょう。
以上、決議します。
全国私教連全国代表者会議
2007年5月27日
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