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東京弁護士会「警告書」に関する都障教組声明

2005年2月24日

(1) 2005年1月24日、東京弁護士会は、東京都教育委員会(以下、都教委という)が行った、都立七生養護学校の子ども、保護者、教職員など関係者に対する一連の措置について、「違憲の疑いが極めて強く、違法なもの」として是正を求める「警告書」を発表した。

(2) 「警告書」は、山田洋次氏(映画監督)等各界各層の方々を含む8125名が行った人権救済の申立を受けて、東京弁護士会が都立七生養護学校の子ども、保護者、教職員など関係者と、都教委や関係都議ら双方からの意見を聴取する場を十分に保障した上で、1年余りの慎重な検討を経てまとめられたものである。

(3) 都障教組は、日本民間教育研究団体連絡会代表世話人である中原正木氏や斎藤弘子氏(家庭科教育研究者連盟代表)、浅井春夫氏(“人間と性”教育研究協議会代表幹事)、高柳美知子氏(“人間と性”教育研究所所長)の4氏がよびかけ人となって発足した、「学校教育・性教育に対する不当な介入への対策連絡協議会」とともに、人権救済申立運動をすすめてきた。

(4) 人権救済の申立とは、弁護士法第1条「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」に基づき設けられた制度である。弁護士の悉皆加盟団体である弁護士会内において設置された人権擁護委員会が、その申立を受けて調査を行い、必要な警告、勧告、要望等を行うものである。
  警告とは「人権救済申立についての委員会規則」の細則第10条によれば、「加害者、監督者等に対して人権侵害行為の中止、是正、改善を求めるとき。人権侵害の態様、内容において違法性が高いとき、再三繰り返されているときなどに警告を発する。」と規定されている。

(5) したがって、東京弁護士会が都教委に対して「警告書」を発したということは、03年7月2日の都議会本会議における土屋たかゆき都議の質問に端を発した、7月4日の同都議や古賀俊昭、田代ひろし都議、一部市議らによる都立七生養護学校「視察」と、その中での養護教諭への人格を否定するような発言、教材の人形の下半身を露出させて並べるなどの行為。そして、翌5日の産経新聞での「過激性教育 まるでアダルトショップのよう」とした報道とそのことによる風評被害や関係者の名誉毀損。さらには都教委による「不適切な性教育を行った」と決めつけた上での教材の没収や関係教員への事情聴取。それらに引き続く一方的な同校「こころとからだの学習」への介入と破壊、同校関係者の「厳重注意」処分等のすべてを、重大な人権侵害行為であると判断したことにほかならない。

(6) 都障教組は、都教委に対して、ただちに以下の措置を講ずるよう求める。

一、都教委が2003年9月11日に都立七生養護学校の教員に行った、「不適切な性教育」を理由とした厳重注意について、撤回、謝罪をすること。

一、都教委は、都立七生養護学校から「没収」した性教育に関する教材を、従来保管されていた七生養護学校の保管場所に返還し、同校における性教育の内容及び方法について、2003年7月3日以前の状態に原状回復すること。

一、都教委は、養護学校における性教育が、養護学校の教職員と保護者の意見にもとづきなされるべき教育であることの本質に鑑み、不当な介入を行わないこと。また、東京都内の他の学校においてもなされている性教育に対する不当な介入を全面的にやめること。

一、都教委は、今回の行為によって重大な人権侵害を被った都立七生養護学校の子ども、保護者、教職員などの関係者に対して謝罪し、風評被害や精神的苦痛などの回復をはかること。

一、都教委が都立七生養護学校での「不適切な性教育」を根拠として行った施策ー全都の公立学校への「週案」提出による教育内容・教育課程への監視及び介入、「性教育の実施指針等」の作成、「性教育の手引き」の改訂等ーをすべて撤回すること。

(7) また都障教組は都議会に対して、警告書にしたがい、今回の都立七生養護学校で行われた都議会議員や一部市議らによる「問題言動」を含む「視察」について、真摯に調査・検討を行い、是正のためのとりくみを行うよう強く求める。
  さらに、一部メディアによる報道に対して、事実を歪曲した意図的な報道を行ったことによって生じた風評被害、関係者への名誉毀損や精神的苦痛に対して、謝罪等の誠意ある対応を行うことを要求する。

(8) 都教委は「不適切な性教育」を契機として「都立盲・ろう・養護学校経営調査委員会」を設置し、8月28日に「報告書」を発表した。そして、2003年9月11日に前都立七生養護学校長の金崎満氏(都立板橋養護学校長;当時)の停職1月及び校長から教諭への降任処分をはじめ116名もの管理職や教職員らに対して処分等を行ったのである。「報告書」は、都立七生養護学校における「不適切な性教育」を強調し、例えば子宮内体験の教材を「膣付子宮体験袋」などと意図的に命名したり、金崎氏についても「不適切な性教育」で処分したかのような発表を行った。こうした都教委のやり方そのものが教育権と人権に対する重大な侵害である。
  また、「報告書」では、学級編制などにも「不適正な実態があった」としているが、そもそも都教委が子どもの障がいの実態に応じた学級の認定や教室の整備を行っていなかったことが問題なのであって、そうした条件整備を放置して一方的に管理職や教職員を処分・指導するなど断じて容認できない。


(9) さらに都教委は、2003年7月2日の同じ土屋たかゆき都議の質問を受けて、性教育のみならず卒業式・入学式についても、いわゆる「10.23通達」を発して、子ども中心の卒業式・入学式等を破壊している。ある議員が議会で教育内容や方法を「不適切」として質問すれば、一切の議論も公正な調査もなく議員の主張する方向にただちに「是正」し、したがわない管理職や教職員らは処分をするというのは、都教委自らが教育基本法第10条で固く禁じられた「教育への不当な支配」を行っていることにほかならない。
  石原慎太郎都知事は、議会で再三「私は憲法を認めない」「命がけで憲法を破る」などと発言をしているが、そうした憲法遵守義務を放棄した異常な石原都政のもとで、都教委もまた教育基本法を自ら破る教育行政を行っているのである。

(10) 教育は国民の負託に基づき直接に責任を負って行われるべきものであり、子どもの教育を受ける権利と、それに基づく教員の教育の自由は保障されなければならない。警告書は、「養護学校における性教育が、養護学校の教職員と保護者の意見に基づきなされるべき教育であることの本質に鑑み、不当な介入をしてはならない。」と明確に述べている。
  いまから30年余前、革新都政のもとで、都教委は「条件整備は行政の責務」と言いきり、障がい児の全員就学を実現させた。都教委をふたたびそうした教育行政本来の立場に立ち返らせるために、都障教組は東京弁護士会による警告書を確信に、憲法・教育基本法の改悪をゆるさず守り生かそうとねがい、運動をすすめている多くの人々と共に力を合わせて奮闘する決意である。

以上

 

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